第6章 やるしかない

あくる日に私はレストランへ1番に出勤した。

朝の午前 4 時 30 分。

北アルプスの冬のホテルの早朝のレストランは冷たく、  そして静かだ。

窓には降りしきる雪景色。

暖かいコーヒーはまるで母親が昔、 受験勉強の深夜に淹れてくれた懐かしい味がした。私の実家は老舗旅館で全ての時間が夜遅く、 朝が早かった。

時計の針の音が 1 秒を刻んでいる。

母親の「頑張りなさい」 の顔が脳裏をよぎる。皿を 75 人前を数えてカウンターに並べて、 昨日仕込まれたレタスを盛る準備をしていた。私はこれまでになく真剣で必死だった。

午前 5 時にオーナーで料理長が来られ

「お前、 なにしとるんじゃ」

「さっさと洗い場へ行かんかい」

「邪魔、 邪魔」

1日の始まりがこんなに憂鬱に始まることはなかった。

洗い場の食器洗浄機の使い方もわからず勝手にスィッチを入れた。大きな「ピー」 というエラー音が自分を追い込む。

オーナーで料理長が飛んできて後ろからどつかれて

「なにしとるんじゃー。 お前 300 万の機械を壊す気かー」と怒鳴り散らされた。 「もういいから部屋で休め!」

私はここは踏ん張りどこだと感じた。

「見習いとしてゴミ捨てをさせてください!」

頭を下げて懇願した。

オーナーは「まぁ。 いい。 やっとけ!ただし邪魔はするなよ!」

私は「ありがとうございます!」  と頭を深々と下げてお礼を言うことしかできなかった。

75 人前の朝食のゴミは90リッターのゴミが5袋くらいでる。厨房の裏口から、 ゴミ場までは40メートルある。

しかも、 腰くらいまでは雪で埋まる。

 

一回のゴミ捨てに 15 分はかかるのである。

相当の気合いと体力が要求される。しかも身体中は冷たい。

そんな嵐のようなゴミ捨ての5往復と朝食が無事に終わった。

誰も私にお疲れ様は言わなかった。

見かねた洗い場のアルバイトの方が食器洗浄機の使い方を教えてくださる。オーナーは「おいおい、 また機械を壊すなよ。 300 万やど」

私は「機械を壊さないことを誓いますので洗い場で使っていただけませんか?」と懇願するしかなかった。

「まあ、 いい。 ただし壊したら福岡の実家へ帰ってもらうからな!」と怒鳴りながら言われた。

後から気づくのだがホテルの厨房の世界は叩き上げだ。

職人が切磋琢磨する厳しい世界だ。

オーナーは私の意識の甘さを徹底的につく。

オーナーは私に対して限界を感じていることは分かった。でも、 私はここで帰る訳にはいかなかった。

「行き場がなくなる」  と直感的に感じていた。

「洗い場とゴミ捨て専用要員として使ってください」このホテルに来てもう一生分の頭をさげた気がした。

そこには、  元世界一の印刷会社のエリートディレクターの姿はなかった。

企業のシステムの中でなんとかやっていた他力本願で実績の妄想をみていた自分をみた。企業を放り出された自分の無力さを思い知った。

私は過去のプライドをこの瞬間から捨てた。もう一度0から出直すと決意した。

ここから第二の人生を始めると心に誓った。

あくる日に私はレストランへ1番に出勤した。

朝の午前 4 時 30 分。

北アルプスの冬のホテルの早朝のレストランは冷たく、  そして静かだ。

窓には降りしきる雪景色。

暖かいコーヒーはまるで母親が昔、 受験勉強の深夜に淹れてくれた懐かしい味がした。私の実家は老舗旅館で全ての時間が夜遅く、 朝が早かった。

時計の針の音が 1 秒を刻んでいる。

母親の「頑張りなさい」 の顔が脳裏をよぎる。皿を 75 人前を数えてカウンターに並べて、 昨日仕込まれたレタスを盛る準備をしていた。私はこれまでになく真剣で必死だった。

午前 5 時にオーナーで料理長が来られ

「お前、 なにしとるんじゃ」

「さっさと洗い場へ行かんかい」

「邪魔、 邪魔」

1日の始まりがこんなに憂鬱に始まることはなかった。

洗い場の食器洗浄機の使い方もわからず勝手にスィッチを入れた。大きな「ピー」 というエラー音が自分を追い込む。

オーナーで料理長が飛んできて後ろからどつかれて

「なにしとるんじゃー。 お前 300 万の機械を壊す気かー」と怒鳴り散らされた。 「もういいから部屋で休め!」

私はここは踏ん張りどこだと感じた。

「見習いとしてゴミ捨てをさせてください!」

頭を下げて懇願した。

オーナーは「まぁ。 いい。 やっとけ!ただし邪魔はするなよ!」

私は「ありがとうございます!」  と頭を深々と下げてお礼を言うことしかできなかった。

75 人前の朝食のゴミは90リッターのゴミが5袋くらいでる。厨房の裏口から、 ゴミ場までは40メートルある。

しかも、 腰くらいまでは雪で埋まる。

 

一回のゴミ捨てに 15 分はかかるのである。

相当の気合いと体力が要求される。しかも身体中は冷たい。

そんな嵐のようなゴミ捨ての5往復と朝食が無事に終わった。

誰も私にお疲れ様は言わなかった。

見かねた洗い場のアルバイトの方が食器洗浄機の使い方を教えてくださる。オーナーは「おいおい、 また機械を壊すなよ。 300 万やど」

私は「機械を壊さないことを誓いますので洗い場で使っていただけませんか?」と懇願するしかなかった。

「まあ、 いい。 ただし壊したら福岡の実家へ帰ってもらうからな!」と怒鳴りながら言われた。

後から気づくのだがホテルの厨房の世界は叩き上げだ。

職人が切磋琢磨する厳しい世界だ。

オーナーは私の意識の甘さを徹底的につく。

オーナーは私に対して限界を感じていることは分かった。でも、 私はここで帰る訳にはいかなかった。

「行き場がなくなる」  と直感的に感じていた。

「洗い場とゴミ捨て専用要員として使ってください」このホテルに来てもう一生分の頭をさげた気がした。

そこには、  元世界一の印刷会社のエリートディレクターの姿はなかった。

企業のシステムの中でなんとかやっていた他力本願で実績の妄想をみていた自分をみた。企業を放り出された自分の無力さを思い知った。

私は過去のプライドをこの瞬間から捨てた。もう一度0から出直すと決意した。

ここから第二の人生を始めると心に誓った。